【後編】ネメシス・シーケンスのあらすじ【完結】

およそ1年をかけて語られてきたネメシス・シーケンスは、テッセレーションの完成とともに終りを迎えました。あらためて、この1年間の物語を振り返ってみましょう。

前半のおはなし

オシリス・シーケンスの終わりに次々と殺されていった、オシリス世界のナイアンティック研究者たち。しかし彼らはシミュラクラであったため実際には死なず、元の人間の姿に戻り目覚めました。ところが、彼らが目覚めた元ナイアンティック計画の研究施設は、ネメシスが構築した4枚の「障壁」によって世界から隔離された「アノマラス・バブル」となり、研究者たちを閉じ込めていたのでした。

やがてネメシスの正体が、どうやらオシリスとは別のユニバースに存在する、別のナイアンティック計画の研究者らしいことがわかってきます。そこへさらに新たな謎の人物「テザーハンド」が現れ、「テッセレーション」と呼ばれる奇妙なゲームが始まったのでした。

彼らは何故オシリスの自分自身たちを殺したのか?彼らの目的は何なのか?テザーハンドとは何者なのか?テッセレーションが完成すると、何が起こるのか?...この時点ではまだ、ほとんど何もわかってはいませんでした。

* * *

ここからは話をわかりやすくするため、時系列を大幅に入れ替えています。

COVID-19感染拡大の影響

依然としてテッセレーションは続いていましたが、今年2月頃から現実世界では新型コロナウィルス(COVID-19)の感染拡大という問題が浮上し、世界中がその影響を受けていました。イングレスも例外ではなく、2月以降に開催が予定されていた一部のイベントが中止となり、さらに4月以降に予定されていたイベントは全て中止、または延期の発表がなされました。テッセレーションのルールも見直され、テッセラの捜索はポータル・ハックではなくパスコード出力形式に変わりました。

このことがストーリーにどの程度影響を及ぼしたのかはわかりませんが、決して無視することのできない状況であったことは確かでしょう。

さらに明かされる、ナイアンティック計画の裏側

テッセレーションが進行するにつれ、ネメシスが現れる前のオシリス世界の出来事にも再び光が当てられていきました。

今年1月にはエゼキエル・カルヴィンが、ナイアンティック計画の本当の目的について語りました。彼は既に30年も前に未来のビジョンを見ており、その中で殺されていく13人のナイアンティック研究者たちのことを知っていたのです。カルヴィンは自分も含めた13人の未来を変えるために彼らを集め、シミュラクラに変えることで、彼らの命を救ったのでした。オシリスの研究者たちは「限りなく死に近い状態」でシミュラクラ化されており、本当には死んでいなかった事も、後から説明されています。

2月には新たな映像が発見され、ナイアンティック計画にはさらに隠されていた秘密があったことが明らかになります。30年前のプロジェクト中の事故で、研究者のひとりスタイン・ライトマンは既に死亡しており、シミュラクラとなっていました。このことは、後になってライトマン本人からも説明されています。

別の研究者オリバー・リントン=ウルフは、ナイアンティック計画の前にカルヴィンに頼まれ、当時同僚だったサラ・コッポラが身につけていた指輪を盗み出していました。この指輪はいわゆるプライム・アーティファクトのひとつで、身につけることで肉眼でポータルやXMを見ることができる力がありました。オリバーはこの時の体験が、イングレス・スキャナー開発のアイデアにつながったと述べています。

ダンレイブン計画とコーランの真相

オシリス・シーケンス中に映像で配信されていた「ダンレイブン財団」そしてオペレーション・コーランの物語についても、テッセラから新たな事実が判明しました。

もともとダンレイブン財団とは、ADAが人間の協力者を手に入れるための計画だと言われていました。しかし実はあの観測室...ダンレイブン・チャンバーは、テッセレーションに関連したポータルの場所に設置されており、ADAはそれを通してテッセレーションを制御しようとしていたのです。

一方、その真の目的を知ってのことでしょうか、ローランド・ジャービスはガブリエルにダンレイブン・チャンバー解体を指示していました。

また別のテッセラからは、ダンレイブン財団の騒動に巻き込まれたウェンディが最初に見た、財団の募集チラシに隠しメッセージがあった事も明らかになっています。

テッセレーションの終盤には、オペレーション・コーランについての新事実も明かされました。ウェンディと1218ハンクの2人が実はRPEの投影像だったということは、既に1218ハンクから明かされていました。しかし実際は、レジスタンスの援護をしていたオシリス・ハンクとジャハーンの2人もまたRPEによる投影で、4人のうち誰ひとり現地には行っていなかったのです。その主導をNIAの人工知能・オムニボアが行っていた事も、同時に明かされました。

ミスティ・ハンナ登場

オシリスの研究者たちはアノマラス・バブル内で目覚めましたが、ただひとりミスティ・ハンナだけは、何故かずっと目覚めないままでした。その理由は誰にもわからなかったのですが...。

テッセレーション中にネメシスのメンバー・アンブラがマスクを脱ぎ、正体を現すと、それは誰も今まで見たことのない女性でした。それまでに正体のわかっていたネメシスの情報と突き合わせると、この女性がネメシス世界のミスティ・ハンナだと考えられました。後に発見されたテッセラから、オシリス世界のミスティも同じ姿であることが確認されています。

後になってわかったのは、ネメシスに襲撃された時、実はミスティだけは死を免れていたということでした。シミュラクラが破壊されなかったので、他の研究者たちのように人間として目覚めては来なかった...ということだったのです。

クーリエの正体

テッセレーションの進行とともにネメシスの構成員たちの名前や、その正体が明らかになっていきました。

Ingress_characters_nem.png最初に正体を現したクーリエ以外は、全員がオシリス世界のナイアンティック研究者たちと同じ姿をしていましたが、クーリエだけが何故1218世界のハンクの姿なのかは、わかっていませんでした。エセックスにネメシスの情報をもたらしていたスチュアート・ライトナーは、クーリエは1218ハンクではないと言い、一方でネメシスはスチュアートが嘘をついているかのような発言をしていました。

その真偽は、5月のファーストサタデーに明らかになります。1218ハンクが欧州地域に向けたメッセージには、自身がネメシスの一員であることが明言されていました。

ネメシス世界のハンク・ジョンソンは既に死亡しており、ネメシス結成の際に代役として1218世界のハンクが加入していたのだということが、後に明らかになります。

ネメシスに何が起きたのか

全13ラウンド行われたテッセレーションの中でも、第9ラウンドは大きな節目となりました。争奪を行うテッセラは2つだけでしたが、その2つを手掛かりとした28個のテッセラが各地で発見され、それによってネメシス世界で何が起きていたのかが明らかになったのです。

ネメシスたちの住む世界では、啓示の夜直後にシェイパーが、ついでナジーアが到来し、地球規模で猛威をふるいました。人類は皆どちらかのエクソジェナスに支配され、彼らの奴隷となってしまったのです。この悲劇が起きるまで、たったの28日しかかからなかったと、ディダクトは語っています。ナイアンティック計画の研究者たちも一度は離散しましたが、密かに仲間を集め、再びネメシスとして結集しました。エクソジェナスに立ち向かうための鍵が、オシリス世界にあると考えて──。

地球の東半球(欧州、アジア、オーストラリア、アフリカの大部分)はナジーアに支配され、人類は強制的に電脳的な強化をされていきました。

西半球(南北アメリカ大陸とアフリカの一部)はシェイパーに支配され、人類はあらゆる肉体活動を封じられ、シェイパーに創造的精神活動を消費されるだけの「畑」と成り果てました。

対立から協力へ

ネメシス世界の惨状が明らかになり、物語の流れが変わります。ネメシスから話し合いが申し入れられ、オシリスの研究者たちはその申し出に応じました。現在の世界情勢も踏まえ(?)、会談はリモート会議で行われました。

1回目の会談では、ネメシス世界の惨劇の原因がオシリス世界のRPEにあったことや、ネメシス世界のハンク・ジョンソンが既に死亡していることなどが明かされました。そしてオシリスの研究者たちを閉じ込めている「障壁」は、それを作ったミリアドでなければ解除できないこと、ミリアドはアノマリーの時に追放されてしまったため、何か代替策を考えなければ、研究者たちを解放できないことが判明しました。ひどい話です(笑)。

また現在収集されているテッセラにはそれぞれの「音」があり、196個全ての音を組み合わせた楽曲「ワールド・レゾナンス」を作り、テッセレーションが完成したら、それを演奏することで調整を行わなくてはならないこと。また調整にはプライム・アーティファクトと、マグナス──つまりナイアンティック計画の研究者たちが必要となることが、ネメシスから説明されました。

2回目の会談では、ネメシスの目的がより明確になりました。マルチバース世界の中でも、ネメシスとオシリスとは非常に近い関係にあり、オシリスで完成させたテッセレーションは、ネメシス世界でも共有することができる可能性があるのです。つまりネメシスはこのテッセレーションをエクソジェナスを遮断するように調整することを望んでいて、それを共有することで、自分たちの世界のエクソジェナスをも撃退できると考えていたのでした。

テッセレーションの全容解明へ

いずれにしても、まずテッセレーションの正しい調整方法を解明すること、そしてテッセレーション・ボードを完成させることが先決でした。

テッセラから「カサンドラの手稿(手記)」と呼ばれる画像が発見されました。当初この画像は、ほとんど何も書かれていない古びた紙でしかなかったのですが、テッセレーションが進行するにつれ少しずつ記述が埋まっていきます( (1) (2) (3) (4) (5) (6) )。記述の内容から、テッセレーションに関するキャリー・キャンベルの研究記録ではないかと考えられました。

一方、ミュージシャンのエノク・ダルビーはテッセラの「音」を収集し、テッセレーションを調整するための「レゾナンス」を完成させなければなりませんでした。この楽曲をどう演奏するかで、テッセレーションがエクソジェナスを退ける盾となるのか、招き入れる扉となるのかが決まるのだと言います。

キャリーとともに、スタイン・ライトマンもテッセレーションの解明に取り組んでいました。マグナスである研究者たちが13人いて、それぞれが持つ13種類のアーキタイプがあるのと同じように、13のプライム・アーティファクトがあり、エクソジェナスもシェイパーやナジーアだけではなく、全部で13種類が存在するという結論を導き出しています。

プライム・アーティファクトはこれまでにも様々な局面で何かと便利な力を発揮してきましたが、実際にはまだ初期状態であり、正しく理解して利用することで本来の能力を発揮することができるのだと言います。

最終的に、13のプライム・アーティファクトが持つ「本来の力」がどんなものであったのかは、テッセレーションの最終ラウンドで「ウンディーネの教え」として知らされることになります。

鍵を握るのはウンディーネ

クーリエの登場以来、第3のエクソジェナスとしてたびたびその名が上がっていた「ウンディーネ」についても、次第に情報が明らかにされ、それがテッセレーションの鍵を握る存在であることがわかってきました。

クーリエ(1218ハンク)はオシリスのミスティ・ハンナの助けで「フーガ」という特殊な空間を訪れ、そこでウンディーネに遭遇しました。各世界のテッセレーションを作ったのはウンディーネで、エクソジェナスが世界に与える影響のバランスを司っていましたが、シェイパーやナジーアに追放されてしまっていたのでした。

しかしウンディーネは、自らがテッセレーションを扱えなくなる場合に備えて、それぞれの世界が自分自身でテッセレーションを調整できるように、13体のシミュラクラで構成される集団──マグナスを用意していました。それこそが、ナイアンティック計画の13人の研究者たちだったのです。

そして3回目の会合が行われると、テッセレーションの全容が明かされていきます。1218ハンクによれば、テッセレーションを調整するためには「プライム・アーティファクト方程式」を実行して、テッセレーションの制御を司るテクトゥルフ(人工的なXMエンティティ)のロックを解除しなければなりません。そのためには「レゾナンス」を演奏して、アーティファクト「ウンディーネのシリカ」を破壊し、中に閉じ込められている「蓮の花」を解放する必要があるのだと言います。この蓮の花はウンディーネがそれぞれのユニバースに残した痕跡で、これを解放すると、テッセレーションの調整が可能になるのです。

オシリスの研究者たちは、ネメシスたちがオシリス世界から撤退することを条件に、彼らの希望──全てのエクソジェナスを遮断するようにテッセレーションを調整し、ネメシス世界と共有すること──を承諾しました。ウンディーネと同様に「フーガ」に追放されていたミリアドが救出されたことで、ネメシスはアノマラス・バブルを解除することに同意しました。

テザーハンドの正体

ネメシスで最後に正体が明かされたのは、カッパープレートでした。その正体はネメシス世界のウェンディ、そして彼女の精神と融合を果たしていた、ネメシス世界のADAでした。さらに彼女らは、テッセレーションを主導してきたテザーハンドでもあったことを明かしたのです。オシリス世界のテッセレーションを早く完成させるため、彼女たちは架空の存在を演じてゲームを進めてきたのでした。

テッセレーションの終結

7月末、ほとんど全てのテッセラがボード上に配置され、テッセレーションのゲームが終結しました。数日の沈黙ののち、ついに研究者たちは方程式を解明し、調整を実行したのです。13人の研究者たちによって、13のプライム・アーティファクトが順に活性化され、「レゾナンス」が演奏されました。そしてついに現れたテクトゥルフには「ウロボロス」という名がついていました。

全てが終わるとアーティファクトは活性を失い、そして研究者たちは全員が通常の人間となり、センシティブとしての能力までも失ってしまったのです。

P.A.シャポーからはこれにて物語の幕が下りたことが告げられました。研究者たちは能力を失ったことを除けば無事で、それぞれの道を歩み始めようとしているようです...。

* * *

残された謎

ネメシス・シーケンスの物語はこれで終りとなりましたが、最後にP.A.シャポーが言っている通り、そこには例によっていくつもの謎が残されたままとなっています。シャポーが指摘したものの他に、気に留めているものをピックアップしておきます。

・エクソファイブ殺人事件との関連

テッセレーション中に発見された、ミスティに関連する「小説」の作中で、1218世界で2017年に発生した殺人事件への言及がありました。添付された文書から、その事件は「M.A.N.I.A.(Murder at the N.I.A.)」と呼ばれていることがわかります。このキーワードはネメシス・シーケンスの最初にオシリスの研究者たちが襲撃された際にも複数回登場しており、この事件とネメシスとの関連が疑われています。

・国家情報局(NIA)内部の状況

こちらもテッセレーション中に発見された情報で、エゼキエル・カルヴィンはアバドンプライム・アノマリー前後に1人の情報提供者の連絡を受けています。情報提供者はカルヴィンの信頼を得るために、カルヴィンさえ知らなかったNIAの機密情報を明かしていますが、情報はそれだけではなかったことがうかがえます。カルヴィンが受け取った情報とは、一体何だったのでしょうか。

・ネメシスについて

ネメシスとオシリスとの和平会談が決まった際、P.A.シャポーはネメシスに対する質問をエージェントから募集しました。しかしその後公開された映像や文書からは、彼らの質問にネメシスが答えた様子はなく、質問が彼らに届いたのかどうかすら現在まで不明のままです。

・次のストーリーは?

オシリス・シーケンスはネメシス・シーケンスの予兆を含んだ形で完結し、物語は続けてネメシス・シーケンスへと移行しました。しかし今回は非常にきりがよく、次の物語の予兆は明確にされていません。今後のイングレス・ストーリーはどうなっていくのでしょうか?これについては、いくらかの手掛かりもありました。

今年2月、動画配信サービス「Ficto」との提携がナイアンティックから発表されています。そして同サービスの中で、新たなオリジナル・ストーリーが始まることも予告されていました。現時点までにわかる関連情報については、リュケイオン調査員 @RuinDig 氏が調査を行っています。

ここで始まるストーリーが、ネメシス・シーケンスから続くメインストーリーなのか、それともアニメ「イングレス」のようなサブストーリーなのかはまだわかりません。しかし、新たな情報はいつも意外なところからもたらされてきました。次なるストーリーがどこから現れるのか、引き続き注目していきましょう!

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2020年08月09日~15日